2012年04月10日

榎田信衛門のドラマ原点『天下御免』

榎田信衛門「鯨のしっぽ」2002年9月21日付より抜粋)

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『天下御免』は1971年10月8日から1年間放送された、2代目タイムショックMC&大岡越前の吉宗こと山口崇演ずる天才平賀源内を主人公とするカルト時代劇。
当時のNHKとしては、異常と言う程「画期的」にカルトな作品であった。

時代をちょいと先取りし過ぎたきらいがある平賀源内を中心に、戦国乱世に憧れる剣の使い手・小野寺右京之介(林隆三)、義賊稲葉小僧(津坂匡章、現秋野太作)が脇を固め、武家の娘・(中野良子)、その弟八萬(山田隆夫)、田沼意次(仲谷昇)、杉田玄白(坂本九)などが登場した。
ナレーションは水前寺清子であった。

毎週金曜夜8時のお楽しみ。
書き出せばキリが無いが・・。
それはそれは恐ろしく風刺をきかせた現代感覚の時代劇であって、例えばゴミ問題とか様々な社会問題を取り上げれば、なんと美濃部東京都知事がゲスト出演するわ、当時の人気CMのパロディまでやってしまうわ。(恐らくNHK初!)

源内が江戸に入るシーンでは、現代の銀座ホコ天をそのまんま使い、時代劇なんだか現代劇なんだか分からないキテレツな演出で視聴者を驚かせた。

この破天荒ぶりは、以後のNHK(BS除く)では全く見られないと言ってもいい程のもので、小学2年生であったあっしの感性を見事に射抜く凄い作品であった。

最終回では、気が狂ったふりをした平賀源内が、気球に乗って日本を脱出。
革命の荒らしうずまくフランスに逃亡する!という物凄いオチが用意され、時代考証もへったくれもない「めちゃめちゃ加減」がビンビン来たものであった。

ちなみに90年になって『びいどろで候・長崎屋夢日記』という作品で、フランスに渡った平賀源内が登場するという《涙もの》の演出がなされたが、この意味が分かったのは残念ながらおじさんおばさんだけであった。

ところで・・
最近『QIC』のリスナーが異常に増えている。
何やらあっしのモノの考え方が面白いのか変なのか・・ともかく普通じゃないところがいいらしい。

あっしは、イデオロギーの先駆者でもなければ、教祖でもないので、何だか微妙な心持ちであるが、ここでちょいと種明かしをしておこう・・。

あっしの妙な思考回路を作っちまったその原因物質は、ズバリ『天下御免』・・・。マジで。

政治や風俗に対する視点、全てを一旦裏返しにして見てみようという思考、ぜーんぶ『天下御免』に劇的にハマってしまったから出来上がったものなのよ。
これ見てなけりゃ、今頃真面目な公務員にでもなっていたかもしれん。(笑)

言ってみれば、小学2年生であっしの運命は決まっていたことになる。
予め決められた道筋を通って来ただけの30年間だったのかも知れぬ。

「船出だぞ、船出だぞ、このうら船に帆を上げて~
 自由の風をつかまえろ、てんてん天下の御免丸・・
 風・風・風・風、風をおいらがおこすんだ・・
 俺達みんなが風なんだ・・エイエイコーラのエイコーラ」
・・挿入歌である。


お聞き頂けば、あっしのムチャクチャさの原典、そしてFMCの設計思想がここにあることがお分かり頂けるかもしんない。


さてさて時代劇で非常に重要なものは「テーマ曲」である。
テーマ曲がバシッとハマっていないと、のっけからコケてしまう。
その点でも『天下御免』は秀逸である。


TBSラジオ『小沢昭一の小沢昭一的こころ』を彷佛とさせる山本直純のお囃子風テーマ曲。
否、お囃子を主旋律として抱きながら、大河ドラマ然とした壮大な副旋律が奏でるロマン。
見事であった。

のっけの太鼓で重厚さを醸し出しながら、すッと軽い主旋律が登場。
そしてその背後で美しいストリングスが『男はつらいよ』のそれにも似た哀愁ある副旋律を描く・・。
スタッカートになる。太鼓が前面に押し出す。
再びすッと軽いメロディに戻る。村祭りのような太鼓の賑やかさ・・。

4クール46回分のくり返しで記憶されたこのテーマ曲・・忘れることは出来ない。

実は今日までずっとだが、何かしら心の中に鬱が生じた時に、自分を鼓舞するように頭の中で奏でるメロディがある。
それが『天下御免』のテーマである。

小学2年からだから、30年以上この曲が消えたことが無い。
あの大正琴の響きが、何度も、挫けそうなあっしの心を奮い立たせてくれた。

余談だが、このドラマはVTRがまともに残っていない・・。
山口崇が個人的に家庭用VTR(多分3/4インチであろう)で録画したものが現存するのみらしい。(第1回と最終回のみ)
まことに残念である。

監督・榎田信衛門
posted by るねでい at 04:23| 雑記 | 更新情報をチェックする

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